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2025年6月24日(日本時間)のトランプ声明による「イランとイスラエルの完全かつ全面的な停戦合意」はコンテナ輸送市場に安心感をもたらしたが、状況は戦争の終結という安定の確保、中東情勢の緊張緩和には程遠く、依然として穏やかではない。根本は米国とイランの核開発を巡る協議の再開であり、この点を荷主や海貨業界、船社関係者は注視することが必要だ。
「中東の火薬庫」と言われるこの地域、とくにホルムズ海峡、ペルシャ湾(アラビア湾)での差し迫った脅威はやわらぎ、最低限の 安定は保たれようが、船社は依然として警戒を強めている。世界の石油、天然ガス(LNG)輸送と一部のコンテナ輸送にとって重要な要衝であるホルムズ海峡は、今まで、完全封鎖されたことはなかったものの、混乱のリスクの影響を受け、輸送ルート、航路変更や保険料の値上げ(アラビア湾航行船のWar Risk Premium(上乗せ保険料率)は1週間前に0.2%だったが、0.5%への高騰が起こっていた。運賃や保険料は急騰し、湾岸航路の一部ではタンカーで6万ドル(1日あたり)を超える保険料が課された。
これらのコストは今後緩和に向かう可能性があるものの、保険会社と船社は停戦維持を見極めるため、すぐには緩和しないだろう。
MaerskやHapag-Lloydなど多くのコンテナ船社はハイファやアシュドッドなどのイスラエルの港の寄港中止を発表したが、これらの港湾は紛争中も荷役オペレーションを継続しており、寄港の安全性が担保されれば、さらに安定すると予想される。紅海・スエズ経由については一部を除き、殆どの船社が喜望峰ルートを選択、トランジットタイムは10~12日延び、燃料コストも増加している。
停戦により一部リスクサーチャージが低減する可能性があるものの、依然として不確実性は大きく、不安定な状況が続き、コンテナ輸送マーケットは警戒レベルの高い環境にある。 
海貨を初め、中東市場や欧州ビジネスに関わる諸氏は燃料価格、保険の動向、そして緊張再燃の兆候に注視する必要がある。
なお、日本の中東産原油、LNGの依存度は原油が90~95%、日本が輸入しているLNGの20%がホルムズ海峡経由で、主としてカタール産に依存している。


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