UNCITRALが流通可能な運送証券の条約草案を最終承認
国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)*注は7月23日、ウィーンで開催した58会期で海運を除く全輸送モードの運送人が発行する運送状を流通可能な運送証券とする条約草案を最終決定し、国連総会にその採択を勧告した。今後は9月中旬から始まる第80回総会に提出されるが、採択は年末になる見通し。
UNCITRALでは中国の要請に基づいて事務局が国際輸送に利用されている運送状の法的側面について調査し、その結果をもとに2022年から流通性を持つ貨物運送書類を担当する第6作業部会(WG)が船荷証券以外についても有価証券化する作業を進め、最終草案をまとめた。
全輸送モードの運送書類が有価証券化すれば、航空、鉄道、陸上輸送では単一輸送と複合輸送との間の責任の所在のギャップを埋めることができ、運送書類が運送品と同等の金銭的価値を持つことにより、その所有者は運送品の所有権を主張することができ、さらに運送途上でも輸送貨物の転売(所有権の移転)が可能となり、運送人に対して運送品の引き渡しを請求できる権利を持つことになる。
*注国連国際商取引法委員会(The United Nations Commission on International Trade Law:UNCITRAL)は、国際商取引法分野における国連システムの中核的な法的機関。その使命は、商取引法の近代化と調和を段階的に進め、国際貿易における法的障害を取り除くこと。国際商事紛争解決、電子商取引、倒産、国際決済、物品売買、運輸法、調達、インフラ開発といった主要分野における法文書を作成している。また、UNCITRALは加盟国が自国の法改正ニーズを検討・評価し、UNCITRAL文書の実施に必要な法案起草の支援など、法改正活動への技術支援も行う。事務局はオーストリア・ウィーン。