UNCTAD 25年上半期の世界貿易3,000億ドル増 米国の輸入とEUの輸出増加がけん引
国連貿易開発会議(UNCTAD)が7月8日に発表した世界貿易最新情報によると、2025年上半期の世界貿易は成長ペースが鈍化したものの、推定3,000億ドル増加した。第1四半期(1~3月)に約1.5%、第2四半期(4~6月)には2.0%に成長が加速した。価格上昇が貿易額全体の増加に寄与したが貿易量はわずか1%増にとどまった。
1Qは先進国経済が発展途上国経済を上回り、南半球に有利だった近年の傾向を覆した。この変化は米国の輸入が14%増加、欧州連合(EU)の輸出が6%増加したことがけん引した。対照的に発展途上国は輸入が2%減少、南南貿易は全体的に停滞したが、アフリカは輸出が5%増加、域内貿易は16%増と傾向が逆行した。
過去四半期に貿易不均衡は拡大、米国の貿易赤字は拡大、政策の不確実性、地政学的な緊張、世界経済の成長鈍化の兆候が続く中、今年後半に世界貿易は逆風に直面すると警告している。
米国の新たな関税(10%の基本税率と鉄鋼・アルミへの追加関税含む)は、貿易分断のリスクを高めており、報復措置はいまのところ限定的だが、さらなる一方的な措置の波は、事態のエスカレーションを引き起こし、第三国への波及やサプライチェーンの不安定化を招く可能性があると指摘。
それでも回復の兆しは残っており、貨物指数は2025年初頭の安値から回復、地域統合は強化、サービス貿易は引き続き力強い成長を続ける可能性があるとし、2025年後半の継続的な回復力は政策の明確さ、地政学的発展、そしてサプライチェーンの適応性にかかっているとしている。